外見と中身の曖昧な関係

澤田知子「Maquerade」
気鋭のフォトグラファの澤田知子氏が、キャバ嬢、ギャル、卒業写真、お見合い写真等など一人400役を演じて、セルフポートレイトに収めたという写真展。
同一人物でありながらも、化粧や髪型、表情の違いでかくも印象が異なるとは。
最近、「人は見た目が9割」というベストセラー新書があったけれども、正にその世界だった。

第一印象が与えるイメージは、その人の言動という内面的な対外的活動にも大きな影響を及ぼす。私も会社で先輩上司の方々に、他者に対して与えるイメージを大事にしろ、と口を酸っぱく指摘されるのだが、確かにその通りなのかも知れない。

一体、彼・彼女が何者であるのか。本質を理解するのには幾度もの時を重ねなければ不可能であろう。

だがそれよりも第一に、彼・彼女を知ろうとする努力がそこに生じるかどうかは、第一印象の善し悪しに関わりはしないか。


外見で判断してはいけない、と良くいわれたものだけれども、その言葉の矛盾と虚妄、そして空しさを実にユーモラスに、鋭く描き出した良い展示だったように感じる。

面白かった。