マルコヴィッチの穴−意識と身体、そして人間

ツタヤが本日まで半額セール中だったので、とりあえず無難な映画を借りる。

主人公は冴えない人形師。そんな彼が偶然見つけた秘密のトンネルは、著名なスター=マルコヴィッチの脳に繋がっていて、このトンネルを潜るとマルコビッチの潜在意識に潜り込めてしまう。
15分のタイムリミット付きで、15分過ぎると意識の外に弾き出されてしまうのだが、まぁ、それを利用してその人形師がマルコヴィッチの意識を乗っ取って色々やるというもの。
映画の中で主人公が「このトンネルを潜って、マルコヴィッチになると自分が何者であるのか、私とは何なのかが分からなくなってしまう。これは驚きだ。」というような台詞があったり、マルコヴィッチの意識を操っているシーンで「人間も人形も一緒だ」というような台詞があったのが印象的。

 作中で主人公が操る人形は、まるで生きているかのような自然でスムーズな動きをする。同じ「生きているかのようなパペット」を扱うにしても、シュヴァンクマイエルのそれとは志向するところが違っているのは面白かった。表情も感情を持たない人形がぎこちなく動き回る様を、不気味なほど、スーパーリアルに映し出すシュヴァンクマイエルのそれは、人間と人形を分け距てる境界=意識が、いかに曖昧で滑稽なものであるのかを描き出そうとしている。

ヤン・シュヴァンクマイエル 悦楽共犯者 [DVD]

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ヤン・シュヴァンクマイエル ファウスト [DVD]

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