表象としてのヴィトゲンシュタイン

最近、もの忘れが酷いので忘れないために記しておこう。

ヴィトゲンシュタインの姉マルガレーテ・ヴィトゲンシュタイン肖像画クリムトが描いていた事を思い出した。↓


有名な話なのだと思うけれど、ヴィトゲンシュタイン家の面々は偉人・奇人・貴人揃い。その家族史を綴るだけで、一級の読み物になってしまう程。

         ↓大まかな概略を引用(引用元は下部に表示)↓

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ヴィトゲンシュタイン家においては、五男ルートヴィヒ一人が興味深い生涯を送ったというわけではない.
 父カールはオーストリア鉄鋼業の立役者で、優れた経済評論家でもあり、またクリムトウィーン分離派の活動を支援しただけでなく、アレーガッセの屋敷を音楽サロンとして開放するなど、多面的な芸術の理解者であった.ここに集った音楽家たちはブラームスをはじめ、マーラーワルター、カザルスといった錚々たる顔ぶれである.
 ワルターによって「人間性と教養にみちあふれた雰囲気」と評された家庭の空気に影響されてか、ヴィトゲンシュタイン家の子供たちはみな芸術家肌に育ってしまう.しかも九人の子供のうち、上三人までが揃って自殺しているのである.世紀末のウィーンには自殺者が多かったとはいえ、やはり異常なことであろう.家族の衝撃は大きかったに違いない.ともあれ、残された弟妹たちはそれぞれ有名になっていく.

 四男のパウル第一次大戦で右手を失いながらも、左手のコンサート・ピアニストとして活躍した.ラヴェルが『左手のためのピアノ協奏曲』を捧げた、あのパウルヴィトゲンシュタインである.プロコフィエフの『ピアノ協奏曲第四番――左手のための』、リヒャルト・シュトラウスの『家庭交響曲余禄』、ブリテンの『左手のピアノと管弦楽のための主題と変奏』、いずれもパウルによって委嘱されたものだ.

  
マルガレーテ・ストンボロー=ヴィトゲンシュタインの肖像
          1905年 油彩 カンヴァス 180×90cm 

 長女ヘルミーネは画才に長け、クリムトに心酔していた.父カールが分離派を保護したのも、もとを辿ればヘルミーネの熱心な賞賛によるものだろう.クリムトが数多く手掛けた上流階級の女性をモデルとする肖像画のなかでも、ヘルミーネの肖像はどこかゆったりとした、親しみのこもった作品となっている.

 そして、上に掲載した作品のモデル、三女マルガレーテ.彼女もウィーン工芸美術協会の代表を務めるなど、ウィーンの美術界に大きく貢献している.建築にのめり込んだルートヴィヒが設計した有名な邸宅はこのマルガレーテのためのものである.変わり者ばかりのヴィトゲンシュタイン家のなかでは、社交界に生きたということを考えると、なかなかの常識人だったと言えるのかもしれない.



描かれたヴィトゲンシュタインとしてはデレク・ジャーマン監督の「Wittgenstein」も面白い。デレク・ジャーマンにハマり、後々この映画を撮っていたことを知った。このDVDは、何故かパソコンで再生できないので注意(機種によるのかも知れないけれど)。

ヴィトゲンシュタイン (WITTGENSTEIN) [DVD]

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