戯言的分析−規範と破戒

 
 主人公は村落出身の東京育ちの女性で、都会でのルーティンワークに少々辟易気味。で、その主人公が久々に村落に帰ってきて恋仲になったのが、村落出身で東京に出て、都会が嫌になって村落に戻ってきてしまった男性。こちらはもう平穏を望んでいる。村落というのはこの小説中では「歴史」「伝統」「恒常性」「安定」なんかを特徴としてるわけですわね。で、そんな中に或る日突然、ぽいっと、村落の対置される場所である「都会」から客人(まれびと)が訪れるわけですな。さてさて、彼女が来てから色んなところで村の「常識」の撹拌が起きる訳ですよ。浮気する人とか、気が触れちゃったりする人とか、死者が甦っちゃったりだとか。これってつまり、主人公は「都会」という「革新」「先端」「不定」と言った特徴で彩られた、一種のウイルスみたいなもんだったんじゃないかともいえる訳ですわな。

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