東京都青梅市の発表


ちょっと他の発表者と違った雰囲気のオジサマが登場しました。発表内容もグンバツに面白いじゃありませんか。ここで漸く目が覚めた(笑)


で、発表の内容は、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の小説『怪談-kwaidan-』に収録の、恐らく日本で一番有名な怪異譚「雪おんな」について。


ん?なんで青梅市が?と思っていたら、どうやら青梅市のオジサマ曰く「雪おんな」の舞台は、青梅の辺りだったと言うじゃありませんか。正確には青梅に伝わる伝承を元にして作り上げた話だというじゃありませんか。
 まぁ、少なくとも僕はありゃ東北の話だろ、と思い込んでいたもんで、そりゃもう驚き甚だしく。ほいで、青梅のオジサマの言うことにゃ、まず小説「雪女」の冒頭部分に「昔、武蔵国のある村に、茂作と巳之吉という二人の樵が住んでいた」と実際に書いてある。


んで、ついでに「怪談」の序文の英語版を見ると、こんな風にかいてあるという。「・・・雪女という奇妙な物語は武蔵の国、西多摩郡、調布村のある百姓が、その土地に伝わる古い言い伝えとして私に語ってくれたものである」と。調布村ってのは今じゃぁ存在してない訳ですが、小泉八雲が『怪談』を執筆した頃にはちゃんと存在していたそうで*1



でも、あんな大吹雪の荒ぶる山が東京にあったとは思えない訳ですよ。いま現在東京で雪降ってもせいぜい積もって5cmくらいやし、雪女の暮らす環境としちゃ最悪なんじゃないかとおもうわけです。

と、そこで青梅市のオジサマおっしゃるに、
元禄13年庚申に発刊された「谷合氏見聞録」*2という天文記録を見るに、元禄年間には青梅市では、約60〜120cmに渡る降雪量が観測されたと言うじゃありませんかいな


他にも何点か資料を示してくれたんですが、それを見るにどうやらほぼ間違いなく「雪女」が生まれたのは東京は青梅だと言う事が分かる。


いやぁ、驚いたね。雪女が東京に住んでいたなんて、なんだか凄くロマンティックな話じゃありませんか。そう、今では幻想としか思えないという点で。*3



そこで雪女シンポジウムなるものを開き、そこに小泉八雲の曾孫さんをお招きして『雪女の出生地』をお伝えしたそうな。曾孫さんもこの説には納得してくれ、かつ感動してくれたそうです。

そしてこの「出生の秘密」が分かった記念に「雪おんな縁の地」碑を調布橋のたもと(千ケ瀬の渡し)に建立したそうですわ。



だらだらと書き連ねましたが、つまり


実は雪女の本籍は東京です。



ということで。

参考までに、「雪女探偵団」のHPのURLを記載しておきます。
より詳しく知りたい方は、以下をお尋ねになると宜しいかと思います。
http://www.top.ne.jp/aliceweb/yukionna/

*1:
下記ページより転載:武蔵の国・西多摩郡・調布村とは?:1889(明治22)年に、千ケ瀬村、河辺村、上長淵村、下長淵村、友田村、駒木野村の六か村合併によりできた村名で、1951(昭和26)年に青梅町、霞村と合併して青梅市になるまでの約60年間「多摩郡調布村」として存在していたのです。

*2:
『谷合氏見聞録』についての興味深い洞察:http://www.aa.alpha-net.ne.jp/starlore/book31.htm

*3:
→この点については、また後日もう少し詳しく書いておく必要があるだろう。何しろ『妖怪』を語る上で一番大事なのは、『妖怪』がどんどんいなくなっていっている点=妖怪の幻想化にあるのだから。