木蓮(木蘭)の涙

 学校から家への帰路についている時に、ウォークマンを聞いていた。丁度午後3時頃だったので、夏に移ろい行く春の風がとても気持ち良く、ついつい回り道して散歩してしまった。そんな時、ふとウォークマンから流れ出したのは「木蓮の涙」。90年代の初頭にスターダストレビューが出した名曲だ。ここ最近、急に思い出して(と、いうか今現在、とあるウィスキーのCMソングとして使われているらしい。でもCMを見たことが無いからそのCMのせいではないのだけど。)、ウォークマン(というか、mp3プレイヤー)に入れて聞いていた。メロディーと曲の展開が好き、という理由で好きだったのだが、昨日は何故か「歌詞」に耳が傾いた。僕は普段、音楽を聴く時、大抵の場合、歌詞を聞いていない。メロディーラインしか聞いていない。木蓮の涙もご他聞に漏れず、歌詞はちゃんと聞いていなかったし、きっと「別れ歌(振られ歌)」なんだろう、という程度に捉えていた。

 が、違っていた訳だ。大いに。

 確かに別れ歌は別れ歌なんだけれど、この歌は「死別の歌」だったわけだ。「あなたは眠るように、空へと旅立った」というフレーズから、今更その事に気が付いた。これを踏まえて聞くと、今まで何気なく流していた、「♪あいたくて・・・この胸の囁きが、貴方を探している、貴方を呼んでいる」という歌詞や、サビの「いつまでも・・そばに居ると言っていた、貴方は嘘つきだね、私を置き去りに」という歌詞が初めて本来の意味をもって生きてくる。
恥ずかしい話、私はこういったお涙頂戴の話に、割と弱い。浅田次郎の小説を読んで感動してしまうような男である。歌詞を知り、「木蓮の涙」にも今更ながら、感じ入ってしまったわけだ。
 そうなってくると、他の部分についてももっと知りたくなる、というのが心情である訳だ。まず第一に、「木蓮」ってのは一体なにを指しているのだろう、と。涙は分かるが、「木蓮」から予測できるのは、せいぜい季節を表しているのだろう、というくらいの事だ。
そこで調べてみると、まず「木蓮」は、3月〜5月春の花である、という事が分かった(知らなかったという事が恥ずかしいけれども。)。

丁度、今頃の季節だ。こういった晴れやかな季節に亡くなる、というのはそれだけで悲しさのフレームが際立つ。更に「木蓮」を解説してあるページを良く調べてみると、もっと面白い事が分かった。

木蓮の花ことば」である。

木蓮花言葉は、「自然への愛・高潔な心」そして「持続性」。

ここで、ようやく意味が分かった。なんで木蓮の涙か。

名曲と呼ぶ相応しい歌です。

未聴の方、歌詞はそれほど気にして聞いていなかったという方。
どうぞ試してみてください。

ちなみに本日、5月25日に「木蓮(木蘭)の涙」のアコースティックバージョン(いまCMで使われているらしいヴァージョン)のCDシングルが発売される模様です。

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