駅前にて

久しく聞いていなかった、鉦の音がにわかに近づいてくる。
コンチキチン、コンチキチン。軽妙な鉦と太鼓のリズムに、愉快でどこか間抜けたサックスが弾む。

日曜の昼下がりという柔らかで気の抜けた時刻にすんなりと溶け込んでくる。

懐かしい、という程年を重ねている訳でも無いのだが、それでも懐かしく感じてしまうのは、徐々に無くなりつつある「何か」、に対する郷愁なのだろうか、なんて尤もらしい事を言うのはかえって無粋だろう。


楽しめば良い、愉快になればよい。
とにかくなんとも気持ちの良い午後だ。